ラモーンズを語るスティーヴ・アルビニ (2015)

アルビニは複数のメディアでラモーンズの影響を語っています。

以下の翻訳は『Steve Albini on Ramones』というタイトルで某動画サイトに上がっているものですが、動画の詳細は不明。

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自分の音楽人生が始まった瞬間をはっきりと思い出せるよ。あれは学校で社会科見学に向かうバスの中だった。14歳か15歳の頃だったかな。クラスメイトの一人が語学実習で使う小さなカセットプレイヤーを持ってたんだ。このくらいの大きさの、端っこにボタンが4つ付いてるやつでね。彼の兄が大学で買ったラモーンズのカセットを持ってたんだよ。カセット版のファーストアルバムを。それをずっとかけてたんだ。フザけた面白い音楽だと思ったよ。見学までの長い道中、僕らはそのラモーンズのカセットを何度も何度もかけてた。その時はただ、今まで聴いた中で一番フザけてる音楽だと思った。こんなの作る人がいるんだって、信じられなかった。彼らは子供向けのポップミュージックをやろうとしてるんだと気付いたんだけど、でも迫力あって、下手クソで、それがすごくチャーミングだと思ったよ。僕はノートにそのバンドの名前をメモっておいて、街に戻ってきたその日の内にレコード屋に行ってそのアルバムを注文したんだ。

今もまだ使ってるのかわからないけど、当時は街の小さなレコード屋で注文するとき、シュワン・ミュージック・ガイドっていう、でっかい図書館の辞書みたいなサイズのカタログがあって、レコードが全部載ってるんだよね。それでレコード屋のおばさんがそのカタログをめくってラモーンズのアルバムを見つけて注文してくれたんだ。それからレコードが(当時住んでいた)モンタナのミズーラに届くまでの二週間くらい、ずっとそわそわしてた。何度もレコード屋にちゃんと来るかどうか確認したりしてね。向こうにしたらきっと迷惑だったと思うよ。しばらくしてレコードが届いたって連絡があって、すぐに取りに行ったよ。

それからレコードのA面をかけて、裏返してB面をかけて、また裏返してA面をかけて、また裏返してB面をかけてって、何度も何度も続けて聴いたんだ。わからないけど、多分二週間くらいかな。初めて聴いた時からレコードが届くまでの間に、このフザけた音楽に対するイメージがどんどん膨らんでいってね、バカみたいにおどけた音楽だって思ってたんだけれども、何度も何度もしっかり聴くようになっていく内に、ある時フザけてるように聴こえなくなったんだ。友達に聴かせてたんだよ、「これマジでバカみたいだぜ」って。それが突然コミックソングに聴こえなくなって、世界で最高の音楽になった。今まで聴いてきた中で一番いい音楽に聴こえる様になったんだ。それから僕らの仲間内はみんな熱狂的なラモーンズのファンになってね。ある時、もう一枚アルバムを出してることに気付いて、すぐさま注文して。そしたらもう一枚あるのに気付いてまた注文してさ。僕が今までやってきたこと、自分の音楽に関しても、人生を掛けた自らの職業に関しても、スクールバスの中でラモーンズのカセットを聴いた瞬間が全てのルーツになっていると言えるよ。

自分はすごくラッキーだったって思う時があるんだ。あの多感な時期にあのバスの中で、例えば、ラッシュとか、グレイトフル・デッドのアルバムを聴いてなくてよかったなって(笑)。もし聴いてたら人生どうなってたかわからないよ。


アメリカのコメディアン、マーク・マロンの人気番組『WTFポッドキャスト』の第650回(2015年10月29日放送)にアルビニがゲストに出ています。非常に面白い回なのですが、ここでもアルビニはラモーンズのことを語っています。以下一部抜粋・翻訳。


ラモーンズが完璧で最高の音楽だと気づいてから、世界が違って見えるようになったんだ。

―何が変わったんだい? どんな風に最高だと思ったの?

こういうことをバンドやレコードに対して言ってしまうと高潔なもののように聞こえちゃうかもしれないけど…ラモーンズが歌っているテーマはすべて、僕らが友達と話しているような、子供じみたバカげたことなんだ。アウトサイダーカルチャー、C級ポップカルチャー、ホラー映画、漫画…僕らが夢中だったもの、僕らの中に色濃く染みついているものだよね。ラモーンズはそれらを本気で歌っているんだ。それから突然、「自分の頭の中に溢れているひねくれた考えに対して、本気になってもいいのかもしれない」って思ったんだよね。彼らは『悪魔のいけにえ』とか、ヤクの金のためにしゃぶるだとか、そんなことを歌ってる。それって、まともなことなんだって。そういう考えを受け入れていいんだって。自分の頭の中で抑制する必要はない。それらを価値のない言葉だと思う必要もないって。そうだよね?それから自分の中にある妄想やとりとめのないことを、真剣にとらえるようになったんだ。

その延長で、他人のバカげたこだわり、妄想やとりとめのないことに対しても、本気で向き合わなきゃいけなくなった。自分と違う人、メインストリームにフィットできない人…。自分の人生におけるすべての面において、「ラモーンズが世界に対する自分の見方を変えた」って、これはまったくジョークじゃないよ。

―わかるよ。ある意味、美的感性、理解力みたいなものをくれたってことだよね。

そう、それに社会意識。ヤクの金のためにしゃぶらなきゃいけない人がいるなんて、そんなこと自分の身に起こったことなかったから(笑)。それから「そうか、ある特定の状況下なら、それが生き延びるための手段や、もしかするとキャリアの一部にもなりえるんだな」ってさ。

―(笑)その当時何歳だったの?

14歳。

―それはマジで大事なことだよね。

うん。


音楽的な部分はまだしも、歌詞に関しては言語的、時代的、文化的な違いですべてが伝わらないため、アルビニの発言からラモーンズがもたらした影響の大きさが知ることができ、非常に有益でした。

アルビニのバンド、ビッグ・ブラックの曲をみると、例えば『Atomizer』に収録されている「Bazooka Joe」とはアメリカンコミックのキャラクターです。上記の発言通り、彼の表現活動もラモーンズ思想を受け継いでいることがわかりますね。

話は変わりますが、日本のチーターズマニアというバンドは、ボーカルが小学生の谷口共鳴さんです。「しょうがやき」や「3DS」など、今の彼でなければ書けない宝石のような歌ばかりで、私は感動してしまいました。アルビニの話で言えば、ラモーンズ以上に地でラモーンズしている、本当に稀有な素晴らしいバンドだと思います。聴いてみてください。

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